『それでもボクはやってない』

観てきました〜♪っていうノリの映画じゃないんですけど、あえて明るくしてみました。
そうそう、予告でクドカン&阿部サンの『舞妓Haaaan!!!』の予告を見ました。面白そうだったから、絶対観に行こうっと。
そして、待ってました!『そのときは彼によろしく』の予告も流れましたよ。っていっても、公式サイトの「Trailer」と同じでしたが・・・(苦笑)。そして大画面どアップで映し出された塚本くんは・・・・・アゴのラインが丸かった・・・(悲)。本編ではどうなんでしょうか。見間違いだといいなぁ。


さて、映画『それでもボクはやってない』の本編ですが、評判通り面白かったです。よく出来た作品だと思いました。キャスティングも良かった。
長いし、ネタバレしてるんで、隠します。



あわてて乗った電車で、痴漢と言われたために、大変な事になっていく主人公の金子くん(加瀬さん)。もう最初から理不尽で不本意の連続。ごく普通の日常の中で、誰にでも起こりうるという事がリアルに感じられて怖かったです。
世の中の多くの女性は、痴漢の被害に合ってとても不愉快な思いをした経験があるんじゃないかしら。最初に出てくる痴漢オヤジ!被害にあった女性が勇気を出して告発したら、「お前みたいなブス、誰が触るか!」みたいな事を言い放った、あのエロオヤジ!痴漢しておきながら、自分を守るためにさらに罵倒するなんて!「お前なんか、一生刑務所から出てくるな!!!!!」と思いましたよ。
痴漢被害に合い、金子くんを犯人と思った女子中学生も、本当にかわいそうだった。あんなにイヤなめに合って、忘れたいだろうに裁判にまで出廷させられて、大人の女性でも辛いのに、どんなに苦痛かを考えると心が痛みます。
でも、この映画で一番気の毒なのは、もちろん金子くん。駅のホームで腕を掴まれたと思ったら、犯罪者のごとく扱われ、怒りと戸惑いで訳がわからない内に、あれよあれよと言う間に起訴までされてしまいます。その間どこへ行っても犯人と決め付けられ、不当に扱われ、何を言っても否定され、調書に残してもくれない。警察、留置所、裁判所・・・そのシステムさえ何も知らないのに、誰も教えてもくれない。あっ!留置所で一緒だった、本田博太郎さんだけは、異常に優しかったです。すごくイイ味出していて、笑った〜。本田さんや竹中さんなどの出演シーンで、笑った箇所も結構あったんですが、物語が進むにつれて段々笑えなくなっていきました。法廷の場へ、手錠をかけられた姿で現れた息子を見たときの母親(もたいさん)の気持ちを思うと、本当に切なかった。
自分も含めて裁判の事など、ドラマや映画でしか知らない人がほとんどだと思うんですよね。もし、こんな事が突然身近に起こったとしても、どうしたらいいのか皆目わかりません。絶対に正義は勝つ、話せばわかると心のどこかで信じているのに、ことごとく裏切られる。起訴されたら最後、99.9%有罪判決だなんて。「これが現在の日本の裁判だ」と言われたら、空恐ろしいです。
幸い金子くんには、自分の無実を信じて力になってくれるお母さんや、友達がいて、そしていい弁護士にも恵まれ、先輩や元カノ、同じく冤罪で戦ってる人も協力してくれます。でも、もしそんな協力者がいなかったら、戦う事すらできないですよねぇ。
以前放送されたドラマ「カバチタレ」では、されてもいない痴漢の罪を男性にかぶせて、相手から示談金や慰謝料を取る、悪い女子高生の話がありました。
果たして真実はいったい何なのか?見つけ出すのは本当に難しい。それを知っているのは、裁かれている本人だけということです。
ところで、途中何度も警察や検察から、「今認めれば、すぐに帰れる。楽になれる。示談に出来る」と言われるんだけど、果たして本当にそうなんでしょうか?「私がやりました」と言ったが最後、やってもいない罪を一生背負っていかなくてはいけないですよね。罪を認めた後、相手の女性が示談に応じなかったら?恋人や職場にバレた時、「いや、あれは本当は自分がやったんじゃないんだ」と言っても、自ら認めてしまった後で、果たして誰が信じてくれるでしょうか?結局どちらに転んでも、楽な道などないような気がしました。
こうなったら、そんな事に巻き込まれないように、自分で身を守るしかないのかもしれませんねぇ。ちなみに、うちの主人も電車通勤ですし、娘達も春からは電車通学です。どうか間違ってもそんな事に巻き込まれないよう、心から願います。対処法を主人に聞いたら、つり革に両手でつかまるなど、両手を上げて乗車するのが一番良いと聞き、実行してると言ってました(苦笑)。最近の男性もなかなか大変ですよね〜。でも痴漢に間違われるくらいなら、それくらいの努力は必要かもしれません。
とても重い内容の映画でしたが、観て良かったです。実はラストもわかっていたんですけど、それでも泣けました。また小日向さんがいいんですよねぇ。本当にヤなヤツで(笑)。
この映画も、エンドロールが終わってライトが点くまで、観ていた人は誰も席を立ちませんでした。とても考えさせられる映画でしたけど、終わって最初に考えたのは、近い将来実施される裁判員制度
・・・気が重いですねぇ。