『タイヨウのうた』

タイヨウのうた プレミアム・エディション [DVD]

難病ものと聞いていたので、塚本くんが出演してなければ、見ることはなかった映画。YUIちゃんについても、ドラマのエンディングを歌ってたことくらいしか知らなかった。運よく当たった試写会に行ってみたら、思っていた映画と全然違って、観終わったあと、とっても心が温かくなった。もちろん悲しい結末ではあるんだけれど、幸せな気持ち、明日からも頑張ろうっていう気持ちになれる、今までにない感動をもらった。本当に大好きな映画。

以下ネタバレしております。そして長いです。








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やっぱりDVDって、映像が綺麗だね〜。細かな表情が見て取れて、映画とは違ったことに気づけたり。
何といってもYUIちゃんの表情がとってもいい。セリフは上手とは言えないかもしれないけど、そこがかえって病気ゆえに、人とはあまり関わりのない生活をしている薫に合っている感じ。話し方も可愛くて、「ふぅん」っていう返事が特に可愛い。
この映画は難病を扱ってはいるんだけど、コミカルなシーンもたくさんあって、そこが重くなりすぎず、始終くすくす笑える。好きな場面は、もうたくさんありすぎてきりがないくらい。
その中でも、2人で初めて横浜に行く一連のシーンが大好き。ヘルメットが上手くかぶれない薫の可愛らしさ。初めての夜の横浜に目を輝かせる薫と、それを嬉しそうに見守る孝治にほのぼのしちゃう。もちろん、ライブシーンでの歌は圧巻で、心に響く。胸が熱くなる。それを聴いて惹かれていく孝治。人を好きになるって、理屈じゃないよね。薫の歌を聞いてるうちに、いつの間にか惹かれていく孝治の表情が秀逸だった。
そして、行きはぎこちなくバイクに乗ってる2人だったけど、帰りは違う。心が寄り添ってる。薫が孝治の背中に「ことん」と頭をつけるところでの、2人の表情が本当に素敵。背中に頭を預けた薫を振り返り、「ふっ」と嬉しそうに笑う孝治の表情がすごく良い!これがまた、長い時間スローで流れる心憎い演出。なんか見てるこっちが照れてしまうような、心がキュンとなるシーン。
この後はつらい現実も描かれるけど、救いのない悲しみとは違う。つらい別れもあっさりとして、変に悲しませようとするところがなくて、良かった。
この作品は、色んな世代の人が、その立場で感動できると思う。特に私達世代は、随分昔に忘れてしまったピュアな恋する気持ちを思い出す。それと同時に、親としての苦悩する思いも。岸谷パパの「なんで俺の娘なんだ」っていうセリフは、どうしようもない、やりきれない気持ちが胸に刺さる。岸谷パパと孝治の涙には、何度観ても泣かされてしまう。麻木ママも隣で優しくサポートしてる感じが、とてもよかった。美咲も、孝治の友達2人も、みんな心優しき愛すべき人たち。みんなが薫のために精一杯のことをする。薫の人生は短かったけれど、とても幸せだったと思う。だから、周りのみんなも前向きな気持ちで、これからの生活を送ることができる。そんな優しくて暖かく、幸せを感じることができる、本当に良い映画だった。

未公開シーンは、どれもカットしたのが残念なほどだったし、メイキングもとてもおもしろかった。孝治が薫の家に招かれたシーンでは、薫が2階に行った後、孝治は岸谷パパから鍋つかみでパシパシはたかれてたんだねぇ(笑)。何度もはたかれたのにカットだったとは。報われないよね(笑)。薫のレコーディングのシーンでは、岸谷さんがドラム叩いてたり、塚本くんが「♪お〜グッバイデ〜ズいま〜♪」と歌ったり、ほんとオチャメなんだから(笑)。この特典ディスクはとても楽しませてもらった♪特に塚本ファンにはGJよ〜♪

ところで、塚本くんは色んなインタビューで、「孝治のような人はいると思いますか?」の問いに「いないと思う。いるかもしれないけど、高校生ではいないんじゃないかな」と答えてた。いい人ばかり出てくるから、この映画はファンタジーだという意見も多いよね。確かに悪い人は1人も出てこない。だからといって、私はファンタジーとは思えないんだよね。ただ悪い人があえて描かれていないだけ。そして孝治はいると信じてる。たとえ映画と同じように、バイトしてCDを作ろうとは思わなくても、好きな人、大事な人のために、自分の出来る限りのことをしてあげたいと思う事は、ごく自然な気持ちだと思うから。それは好きな人のためというより、自分がそうしたいから。後で「もっとこうしてあげればよかった」と後悔したくないから。
そして自分は出来ないって言ってる塚本くんこそ、その立場になったら一生懸命頑張る張本人じゃないかなって思ったりするんです。