&[ひとりごと] 『エンマ』

そんなミニシアターで観た『エンマ』。お客さんは半分弱の入りで、私が想像してたよりは多かったし、意外にも男性の方が多いことにもちょっと驚きました。
観た感想としては、うん、私も好き。なんと言っても主演ですからねぇ、ずっと映ってるし(当たり前)。内容はつかもとくん本人も語っていたように、1度観ただけではどう解釈していいのか解らないっていう感じ。ラストが明確に描かれているわけではないし、誰が何の目的で起こした事なのか、そもそも本当に起こったことだったのか。“夢を見ている(見させられている)”夢を見たら、それも夢だった・・・みたいな。その夢も、その都度内容が少しずつ違っていたり、記憶が錯綜したり曖昧だったり。多くの疑問が残る、スッキリとはしない終わり方でした。でも約1時間半の間、飽きる事もなく、怖すぎることもなく、適度な緊張感で面白く観る事はできました。そして今の自分にとって、この作品を観る事自体がとても大きな意味があったことを痛感したんです。
以下、映画についての感想ではないのでたたみます。

『エンマ』を観て、つくづくつかもとたかしという人は、私の好きなものをいっぱい持っている人だと思いました。顔も好きだし、細腰の華奢な体躯も背の高さも、指の形も、服の着こなし、たとえばジーンズのダボつき加減とか、そういう外見的なほとんどのものがまず好きです。
そして演技に到っては、上手下手を超えて、とにかく好き。
苦痛に歪む表情、疑っている表情、怒っている表情、心配している表情、恐れている表情、怯えている表情、驚いた表情、安心した表情、すべて好き。子供のように怯えてる表情なんて特に大好き。最近はあまり見なかった“作り込んでいない普通のビジュアル”での、初めて見るようなシリアスな演技を、スクリーンで観れた事だけで大満足でした。
以前はトーク番組やバラエティ番組で、フッと垣間見える素のつかもとくんが好きだったんだけど、5.10以来もう以前のようにつかもとくんのプライベートにはあまり興味が持てなくなりました。だから今は役者としてのつかもとくんが好きなのだと実感したかった。でももし真正面から演技を見て、そう思えなかったら?と、役者としてのつかもとくんに興味を失う事が怖かったんです。だからあれ以来、役者としてのつかもとくんをちゃんと見られなかったというか、感情を入れるのをあえて避けてきた。でも昨日はそんな余計なことを一切考えることなく見ることができました。そして今までの心配は全く必要なかった。それは杞憂でした。改めて役者としてのつかもとたかしその人を、好きだと実感することができました。そう思えた自分が何より嬉しかった。それだけで『エンマ』を観に行って本当によかったと心から思いました。
それはヲタへ戻ったというわけではなく、ファンになったことをやっと実感できたということです。今はシンプルにつかもとたかしという役者を見ていたいと思いました。たぶん、今まで自分で勝手に作っていたつかもと像を、ようやく取り払う事ができたんだと思います。彼のプライベートは、当たり前だけど家族がいて、普通の生活がある。ファンはそれを知らなくていいし、あえて知ろうとも思わない。ただいい作品に出て、素敵な演技を見せてくれればいい。これはとっくに頭で解っていた事だったんだけど、ようやく心からそう思うことができました。こういう一連の思いは、ドラマ『特たな』を見ても、『3名様』を見ても叶わなかったこと。だから私にとって『エンマ』は特別な作品になりそうです。できたらまた観に行きたいけれど多分それは無理なので、次はDVDで色んな解釈を楽しめたらいいなと思っています。映画自体は、多分何度見てもよくわからないと思うけど・・・(苦笑)。