我が家の斉藤さん


それはダンナです。
まぁ斉藤さんほど過激じゃないので、プチ斉藤さんとでも申しましょうか。
見た目はとても温厚です。いやいや、性格も物静かで温厚そのもの。結婚以来、私に怒ったことさえないもの。
が、しか〜し、例えば接客態度が非常に悪い店とか、何らかのトラブルで迷惑を被った場合、先方の誠意が見えればそれを咎めたりはしないんだけど、誠意が見られない場合は一変して、かなりうるさいおっさんと化します。

これは20代の若いときからで、通勤バスの中にいた、見ず知らずの失礼なヤツ(私たち同僚に対して失礼だったの)に説教してたこともあったなぁ。
だから一緒にいてハラハラすることも。


これはずっと前のことですけど・・・。

私が食器を洗っていた時のこと、いつの間にか洗い桶の中でコップが割れてて、薬指と小指の間を切ってしまったことがありました。
思ったより傷が深いんで、病院に行く事にしたんだけど、その日は休日で近くの外科はお休みだったんです。当時住んでた地域は、病院が交代で休日診療をしていたので、その日開業してる病院を調べて電話をした後、すぐにダンナの運転で病院に行きました。

その日の病院は休日だけにとても混んでいて、看護師さんたちもアタフタ、バタバタ。
受付で「先ほど電話した者ですけど…」と説明した後、言われるままに待っていたんだけど、待てど暮らせど呼ばれやしない。様子を見てると、どうも後から来た人が先に呼ばれていくじゃない。
おかしいのでもう1度受付で話した後、やっと診てもらえることになったのは、もうほとんどの患者さんがいなくなった頃。
この時点でかなり怒り心頭のダンナ。

診察の後先生が、「傷の場所が場所だから、くっつきにくいんで縫合しましょう。縫合手術の用意して。あとご主人にも説明するのでお呼びして」と女性の看護師さんに指示。
そしてやって来たうちのプチ斉藤さん。

説明を受けた後、おもむろに、
「ところで診て頂くのは大変ありがたいんですが…」と切り出した。
ひぇぇぇ〜、この人はいったい何を言い出すの?とちびまるこちゃんでいうなら、顔に縦線状態のワタシ。

「電話をかけて『すぐ来てください』って言われて来たのに、後から来た人がどんどん先に呼ばれていって、いったいどれだけ待ったと思いますか。ここのシステムはおかしいです!変えたほうがいいんじゃないですか」と意見しだすプチ斉藤さん。
今まさに私の指は縫わんとされてるこのタイミングに、なぜそれを言う?(大汗)
先生も人の子、「何を〜!(怒)」と思って私の指がいい加減に縫合されたらどうすんのよ!と心で叫んでいたけど怒ってる彼には届かず。
先生が何と答えたか全然覚えてないけど、たぶん「申し訳ありません」とか謝ったんじゃないかなぁ。そして言いたいことだけ言って診察室を出て行くダンナはいいよ。
気まずい雰囲気の中、後に残された私はどーすんのよ?え?

仕方なく「どうもすみません、うるさくて」と言うと、これがまた顔はニキビ跡で夏みかんみたいだけど(ほっとけ)若いのに太っ腹な良い先生で、「いえいえ、ご主人のおっしゃるとおりですよ。ほんとにここのやり方はおかしいよ。改善しないと」と看護師さんに言っておられました。どうも本来はここの病院の先生ではなく、休日診療で応援に入ってる先生だったみたい。…尚更すみません。

無事縫合も終わって(2針縫っただけ)、「しばらくは毎日消毒に来てくださいね」と言われたので、「近所の外科ではダメですか?」と尋ねたら、「もちろんいいですよ。絶対ここに来なさいと言うのは、自分の腕に自信のない医者の言う事ですからね」と夏みかんの顔で(失礼な)ニッコリ笑ったのを覚えてます。ほんと、優しい先生でよかったよ。
事実、傷跡は全然わからないほどきれいに治りました(ほっ)。
もちろん病院の帰りにダンナに文句を言ったのは言うまでもなく。
意見するのは良いとして、ほんと、もうちょっとタイミングを考えてから言ってよね!

次にそういう場面に出くわしたのは、娘の制服を買いに専門店へ行ったとき。
ここの店員が本当に失礼な応対だったんだけど、その時も娘と「やれやれ、まただよ」と顔を見合わせたのでした。

ん?そういえば久しくこういう事がないなぁ。年と共に我慢が効くようになったのかしら?
最近は下手に注意すると恐ろしい時代ですもんねぇ。