『ぐりとぐら』を買ったわけ 

昨日エントリーした『ぐりとぐら』ですが、この本を買ったのは結婚後、初めて社宅というものに引っ越してまもなくの頃でした。

隣のお宅に、みさとちゃんという4歳くらいの女の子がいたんです。

みさとちゃんは何が気に入ったのか、いつの頃からか朝10時頃になるとお絵かき帳とクレヨンを手提げバッグに入れて、毎日うちにやって来ました。お母さんには「おねえちゃんのところへお勉強をしに行って来ます」と言って出かけるそうで(当時私はまだ20代でしたので、えぇ)、お昼ご飯の前までうちで過すのが日課になっていました。

子供が好きだった私は、みさとちゃんが来てくれるのは嬉しいんだけど、当時我が家には子供がいなかったので、4歳の女の子が喜ぶようなおもちゃとかが全くなかったんですね。それで絵本でも買おうかなぁと思いたち、買った本が自分も昔から大好きだった『ぐりとぐら』だったんです。絵本1冊では間が持たないかな?と思い、NHKでやっていたディズニーアニメを録画したりもしました。そんなことが結構楽しく、気持ちは子供の頃遊んだ幼稚園ごっこやお母さんごっこの延長だったのかもしれません。


みさとちゃんは『ぐりとぐら』をとても気に入ってくれて、うちに来たら必ず「ぐりとぐらを読んで」とリクエスト。そして森の動物たちと“かすてら”を食べるページに来ると「象さんもいるね。ライオンさんもいるねぇ」と指差しながら順番に言っていき、最後に「フラミンゴさんもいるね」と締めるのでした。



自分の幼い頃を思い出してみると、幼稚園に入園する前くらいの頃に、やっぱりお隣に遊びに行っていた時期がありました。
お隣さんは60代くらいのご夫婦2人暮らし。うちでは飼ってないセキセイインコがめずらしく、餌をやったり水を替えたりのお手伝いをしたり、蒲鉾の板の積み木で遊んだりしていました。

ある日お昼ご飯までご馳走になったんでしょう、いただいたお味噌汁の具にキャベツが入っていて、うちの母はキャベツを入れたことがなかったので、それが何だかとてもおいしく、家に帰ってから「うちでもキャベツのお味噌汁を作って」とせがんだことを覚えています(その頃から食いしん坊だった・汗)。

夫の場合も同じようなことがあり(本人はあまり覚えてないらしいけど)、お隣のご夫婦から「王子、王子」と呼ばれて可愛がられていたとか(わははは、王子だって!)。この「お隣さん」のような存在は「王子」に象徴されるように、自分の家とは違う「ちやほやされる感じ」が、子供にとってとても居心地が良かったのかもしれません。こういうことって子供にとっては意外と大事な経験なのかも。



最近はそういう交流はないのかな?お隣にどんな人が住んでいるかもよくわからなかったり、物騒な事件が頻発するこの頃では、子供だけ遊びに行かせるという事はなかなか難しいのかもしれませんね。
みさとちゃんのお母さんも社宅という事で、とりあえず素性が知れている我が家ならば、娘さんを寄こしても心配なかったのかもしれません。私の方も慣れない社宅の生活に、みさとちゃんの存在が一役も二役もかってくれてた気がします。みさとちゃんのお母さんにとっても、ほんの少しの自分の時間が持てたのかも。


今思えば、ほのぼのしてたんだなぁと良い思い出です。当のみさとちゃんも今頃は、すっかり素敵な女性になっているんでしょうねぇ。