流れるように 

すごく懐かしい友人から電話があった。
ここ数年、いや十数年は年賀状のやり取りだけで、もうずっと会ってない。


毎年年賀状に「今年こそ会おうね!」と書きつつ一向に実現しないため、「今度こそは!」と思って電話してくれたそうだ。なんだかすごく嬉しくなった。
その電話の中で彼女が「そうそう、この前○○通りを通ったら、1階にあったあの店、なくなってたよ。あのコどうしてるんだろうね」と。いきなりふられた話題だったけど、「あぁ、そうなんだー」と通じ合うところも古い友人ならでは。


「あのコ」と呼ばれるのがピッタリなくらい、あの頃はみんな若かったなぁと思い出す。それは昔つき合っていた人のこと。「1階にあったあの店」とは、彼が当時住んでいた学生専用マンションの1階に入っていた喫茶店。時々そこで食事をしたっけ。
そうかぁ。あの店ももうなくなってしまったんだね。一時はテレビでもちょくちょく紹介されてたのに…。


その彼の友達Aくんに「誰か紹介してよ」と言われ、その時誘ったのが電話をくれた友人だった。
そうだった。4人でドライブがてら、海に泳ぎに行ったんだっけ。



友人を紹介する前Aくんから、「どんな感じの女の子?」って聞かれて「可愛いコだよ〜」と答えたら、「女の子の“可愛い”は当てにならないからなぁ」と失礼なことを言われたなぁ。確かに男女では“可愛い”の意味が違うかもね。男性の可愛いはいわゆる容姿のこと。でも女性の可愛いは容姿だけじゃなく(だって容姿は好みだから)、雰囲気とか性格こそが重要なのだ。
結局その後、友人とAくんが会うことはなかったけれど、その日はそれなりに楽しかった。
紹介って何度かしたりされたりしたけど、上手くいったためしがなかったなぁ。




懐かしい友人はわたしの元彼のことを、「可愛いコだったから、今頃きっと可愛いオジサンになってるんじゃない?」と言ってたけれど、「可愛いオジサン=トッチャンボウヤ」としか頭に浮かばなくて笑えてきた。



彼が大学を卒業して社会人になっても付き合いは続き、そのまま結婚するものだとお互い信じていた。
でもそうはならなかった。人生ってわからないものだ。
あれから何十年経ったのか。今思えば本当に子どもだった。でも実際はその頃とちっとも変わってないと思う。
例えば「昨日まで19歳で、今日からハタチ。もう選挙権だってある、あなたは立派な成人です」と言われたって、自分自身は何ひとつ変わってないのと同じように、そういう毎日を積み重ねて気がつけば今の年齢になってしまっていた。
それは70歳になっても、80歳を迎えても、きっと同じに違いない。



友人とはどこで会おう。積もる話もあるし、ゆっくりできるお店がいいなぁ。