忘れようと思ったんだけど…


なんかいつまでもモヤモヤして、心の隅に重〜い感じが残ってるんですよね。
何がって「純と愛」です。
なので思い切って自分勝手な感想を書くことにしました。
これはあくまで一個人の感想なので、「そういう風に感じる人もいるんだなぁ」くらいに流していただければありがたいです。


このドラマ、一言で言うなら不完全燃焼。
振り返ってみるととてもおもしろい回もあったのに(特に前半)、最終的には視聴意欲さえ失っていきました。
ヤフーの感想でよくかかれているように、主人公が暑苦しいとか、自分勝手だとか、そういうことではまったくなく、物語に一貫性がなかったことがこのドラマを楽しめなかった原因だと思います。


だいたい物事があまりにも都合よく運びすぎるし、最初の設定がだんだんブレていくんですね。
たとえば愛くんは双子の弟が亡くなってから、他人の本性が見えるようになったという現実離れした設定。
まぁ現実離れはいいとして、最初は見えるだけだったはずなのに、途中でなぜか心の声まで忠実に聞こえることになっている。
だったら何でもお見通しかと思いきや、肝心なところはわからないという都合のよさ。


脇の登場人物についてもきちんと描写されていないから見ててとまどう。
たとえば純の兄正。
最初はとてもマリヤのことが好きとは思えなかった。
むしろ迷惑そうで逃げたがっていたのに、いつの間にかマリヤが一番大切な人のようになっていたり。
場面転換のための衝撃的なエピソードはたくさんあるのに、人物の心の動きがわかるようなエピソードが少なすぎて、見てる方は脳内補填するしかないんですよね。


オオサキプラザホテルも経営難のため、いきなり外資から吸収合併されたり。
そんな状態なのに、なんでサザンアイランドに融資できたのかという矛盾。
挙げればきりがありません。
何のために登場したのかよくわからないアパートの隣人。里やを火事にするためだけに登場したとしか思えない酒乱の女性(彼女のその後、相手の男性はどうしているんだか)。
トラブルを作り出すためだけに現れて去って行った感じがします。


亡くなる前の善行さんに「一生純さんを守ります」と言ってた愛くんでさえ、その後離婚を言い出す始末。それも純をホテルで働かせるためだけに。
その愛くんですが、手術後に「生命維持装置もついてないのになぜ生きていられるのか」とか、そんなことはこの際いいんです。
それよりももっと人間の本質的な部分で、納得できないことだらけでした。
せっかく半年もある長丁場なんですから、脇の人物がもっと丁寧に描かれていたら…と残念です。


やっと魅力的になってきた脇のキャラクターたちも、ストーリーの都合で理不尽に切られてしまう。
目標を見つけてみんなで頑張り始めると必ず壊される。
この繰り返しは見てる方もいつまでたっても達成感が得られず、カタルシスも感じられず、「またか」とうんざりしてくるんですよね。
問題ばかり起こるわりにはちっとも解決されず、伏線は何も回収されない。
意味深に流される「うれしいひな祭り」の歌も、最後まで引っ張ったわりには納得できる説明はされなかった(見逃してるだけ?)。


結局この朝ドラでいったい何を伝えたかったんでしょうか。
何を思って制作されたのか、そこがよくわかりませんでした。
「朝ドラを壊す」とはこういうことだったんでしょうか。
私はそうではなかったんじゃないかなと思ってます。


このドラマがスタートした頃の番宣では「ハートフルなコメディ」だと紹介されてました。
いったいどこが?と思ったものの、そのうちそういう路線になっていくのかと思いきや、どんどん違う方へ逸れていき、最後は「ハートフルなコメディ」には程遠いドラマに。
結局制作側もブレブレだったのでしょうか。
そもそもなぜ朝ドラで挑戦しようと思ったのか、そこもよくわかりません。



今月からスタートした「あまちゃん」は本当におもしろい。だからこそ「純と愛」で頑張ったお二人が不憫でなりません。
善行役の武田さんから主演二人に向けた「二人は本当によく頑張った。ふつう台本を読めば自然と涙する。ところがこの本はそれを許さない。てめぇで演じてみやがれ!」というメッセージが印象に残りました。