八日目の蝉 最終話

うーん…正直ちょっとガッカリな最終回でした。


季和子にとって薫と過した5年半が、人生の中で一番幸せな時間だったみたい。
自分のせいで、薫=恵理菜の人生を狂わせてしまったとか、秋山夫妻を苦しめたとかを微塵も感じていないとしたら、いくらなんでも勝手すぎます。ほとんど季和子側からしか描かれなかったせいか、これを母性と呼ぶにはあまりにも一方的で、悲劇のヒロインのきれいごとにしか見えないのがね…。


かといって、恵理菜が自分の元に戻ったというのに、実母のヒステリックな態度にも共感できなかった。
複雑な気持ちはわかるけど、別に愛人が産んだ子供じゃあるまいし、あそこまでつらく当たらなくてもいいのにね。そりゃあ恵理菜も帰りたくなるでしょう。
誘拐する方が100%悪いのは当たり前だけど、自分だって鍵もかけずに出かけたことに落ち度があるんだし、ましてやストーブは点けっぱなし(寒いとかわいそうと思ったんだろうけど)。誘拐されなくたって下手すりゃ火事になってたっておかしくない。
そんなことは棚に上げて、何の罪もない恵理菜のそれまでの人生を全否定だなんて。いきなり母親と思っていた人と引き離されたあげくその仕打ちじゃ、恵理菜だって素直に心を開けるわけがないよね。
本当にかわいそうな恵理菜。


でも文治さんのシーンはとても良かった。
季和子が出所した後、もしこの島へ戻っていたなら、きっと文治さんは何も聞かず、あたたかく迎えてくれたんだろうにね。でも季和子はあくまでも「女」じゃなく、「母」になりたかったということか。
最近子どもを虐待する母親によくありがちな、母という立場を忘れて女になってしまうタイプ(ドラマ「Mother」の真千子のように)とは真逆ということか。それこそが本来の母性というものなんだとは思うけれど。
ラストもわかりにくかったし、引き込まれたドラマだけに、最後はもっとスッキリと終わってほしかったです。


いつか原作も読んでみたいな。