ひと安心


先週、母の術後初めての診察があり、一緒に行って来ました。
検査の結果は大変良好だそうで、一番心配していたリンパ節への転移もなし(ばんざい!)。
診察の後抜糸をしてもらい、この日からお風呂もOK(それまではシャワーのみ可だった)。
今後は投薬も治療も必要ないということで、心底ホッとしました。
でもこの病気の場合はこれから5年間、定期的にチェックしていかなければなりません。まずは2か月に一度。そして5年間大丈夫なら、そこでやっと完治となるようです。でも肺の場合は再発率も高いみたいだし、再発すると完治は難しいそうなので、まったく安心とは言い切れません。今の段階では完治率は80%だそう。しかし、母は強運の持ち主なので、きっと大丈夫に違いない。胃がんも完治したしね。
とりあえず私はお役目御免となったけど、これからも気をつけてあげないとなぁ。


以下、手術の日の覚え書き。
長いからたたみます。




母が5年前に胃の手術を受けたのもこの病院なんだけど、病院の建て替えと共にシステムも随分変わっていました。
まず手術前の説明からして進化してました。
担当医の一人である若い先生からの、パワーポイントを使ったプレゼンテーションという感じ。初めて経験する娘たちにもとてもわかりやすかったです。
帰ってから夫に報告したら、「先生によるんじゃない?使いこなせる先生だけだと思うよ」という返事。そうかもね。


そして迎えた手術当日。
今回の母は5年前と違って自覚症状もなく、ピンピンしていたので、私たち付き添いと一緒に本人も手術室まで歩いて行き、「ほんとにこれから手術なの?」っという感じでした。なので前回のような緊迫したムードは特になし。
母とは手術室の前で別れ、付き添いは反対側の待合いスペースへ。
建て替え前は広い手術用の待合室があって、付き添いはそこで待つことになっていたんだけど、大きな病院なので同時にいくつもの手術が行われているわけです。
待っているのは全然知らない人ばかりだけど、待つ理由は皆同じ。なので明るいわけがない。
緊張感ただよう重苦しい雰囲気の中で、何時間も待つのは結構しんどいものです。


でも今回は院内用PHSを渡され、手術が終わったら連絡が入るので、院内ならどこにいても構わないと言われました。
手術室と同じフロアに患者用の図書室があって、そこは見晴らしもよくソファセットがいくつもあり、おまけにドリップ式のコーヒーもある自販機まで置いてあったので、そこで待つことに。
娘2人も来ていたので、朝食代わりに院内にあるコンビニでロールケーキなんかを買い込んで、わりとリラックスしながら待てたと思います。
でも手術前の説明で、ごくまれに、開いてみたら検査ではわからなかったところにも腫瘍があり、手術はせずにそのまま閉じることもあると聞いていたので、その場合ならどれくらいで連絡がくるんだろう。どうぞ早くにPHSが鳴りませんように…と祈ってました。
2時間くらい経った頃、もうここまでくれば順調に行ってるよね、とかなり気持ちもラクに。


3時間経った頃、思ったよりもはやくPHSが鳴り、指定された説明室に向かいました。
途中まで迎えに来た女性の職員さんに促され中に入ると、手術を担当した先生のうち2人の先生が、すでに机を前に座っていました。そのお一人、呼吸器外科部長の方から、手術の報告を受けたわけです(こういう時、必ず絵を書いて説明される)。
机の上にある金属製のバットの中に切除された臓器が入っていて、それを見せながら「ここが腫瘍で硬くなっています。ここがリンパ節で…」と説明してくれます(今回は「見ますか?」と聞かれました)。
こういう説明を受けるのはこれで3回目なんだけど、どこの気管を見ても毎回大きなレバーにしか私には見えないんだけどね…。
今回も切除部分は思ったよりも大きく、小さな傷口からどうやって出すのだろう?なんて思いながら説明を聞いていました。
娘たちも一緒に聞いていたけど、意外と平気でした(前もって教えといてよかった)。


説明の後、「もう意識は戻っているので、これから一緒に帰りますから声をかけてあげてください」と言われ、母がベッドで運ばれてきましたが、先生や看護師さんたちがたくさんいる中では、声がかけづらかったです(苦笑)。
母は呼びかけるとはっきり返事をするものの、まだ少し朦朧とした感じでした。
それから担当の先生と看護師さん、そして私たち付き添いが母のベッドを囲むようにエレベーターに乗ったんだけど、ベッドに機械やいくつもの点滴が付いていて、もうギューギュー詰め。変なところを触って、大変なことになりはしないかとヒヤヒヤしました。先生たちは手がふさがっているので、扉に一番近かった私がなぜかエレベーター係。普段使ってるエレベーターとは違い、開けたままストップしておくボタンとか、見慣れないボタンがついているので、先生から申し訳なさそうにお願いされるたび、アタフタとボタンを探すワタシ…って感じでございました。
本当は術後24時間はICUに入るはずだったんだけど、8つあるベットがいっぱいだったそうで、ナースセンター前にある、広い病室に行くことに(そういう事もあると、前もって聞いてました)。
その後順調に回復し退院となったわけですが、この日は師走の長い1日となりました。


思えば胃がんの定期検診で見つかった今回の病気。
もし胃がんになっていなかったら見つからず、手遅れになっていたかも。
そう考えれば満更不幸とも言えず、返って運が良かったのかもしれません。
もちろん胃がんにならないのが一番だけど、誰も好きで病気になるわけじゃないものね。
今回のことで喉元過ぎれば的に忘れかけていた家族の絆をまた思いだしたし、母が病気になって得たこともたくさんあり、一概に悪いことばかりとは言えないなぁとつくづく思いました。
これを忘れず、まだまだ親孝行しなくちゃね。